白日夢(はくじつむ)・一 第一章:みいちゃん-18
(八)湯船
ふと気が付くと、娘は小さな寝息を立てていた。
”何だ、眠ったのか。そうか・・”
娘の横に体を横たえると、指で乳首を弄んだ。
舌先で転がしてみたりもしたが、娘の反応はまるでなかった。
ベッドの端に腰を下ろした俺は、タバコをくゆらせながら、久しぶりの満足感に浸った。
今夜はどういう日だ、一体。
こんな若い娘とのセックスを楽しめるとは・・。
それにしても、今時の若者の気持ちはわからん。
同棲中の男と喧嘩したらしいが、女友達の一人や二人は居そうなものだろうに。
どうして、初対面の男と一夜を共にするのか・・。
もっとも、俺にしてみれば美味しい展開ではあったが、な。
うん!これで一本書き上げるかぁ。
そんな事を考えながら、俺は心地よい疲れの中、シャワーを浴びることにした。
浴槽の湯は既にぬるま湯に変わっていたが、どうしても湯船に浸かる癖のある俺は、熱い湯をつぎ足すことにした。
浴室を出ると、バスタオルを腰に巻いたまま深々とソファに沈んだ。
冷蔵庫からビールを取り出すと、ぐっすりと寝込んでいる娘に目を移した。
こうしてみると、まだあどけない少女じやないか。
高校生位か・・。
それにしても、あの化粧はいただけんなぁ。
まぁ、変身願望の発露かもしれんが。
そう言えば、『他人の顔』という作品があったっけ。
阿部公房氏の作品だったか・・。
ふふん・・。
若い頃の俺は、純文学に憧れていたんだょな。
俺は、もう遠い昔に思える五年前に思いを馳せた。
そう言えば、麗子は頑張っているようだな。
バイト生活の中、小説を書き続けていた俺なんかに掴まったが為に・・。
女優を目指していた麗子だが、俺の為に回り道をさせてしまった。
しかしまぁ、意に添わない仕事かもしれんが、取りあえずはセクシータレントとして活躍しているようだ。
デビュー前に事務所の命令で、泣く泣く別れたが。
あの時の手切れ金で、今の俺があるのかも、な。
一切のバイトを辞めて、没頭したんだよな。
で、持ち込んだ先々の出版先でケチョンケチョンにけなされて。
そろそろ金が無くなるか、と言う時だ。