好奇心と共に-4
「なんで、B棟結構ややこしいよ。暗くなってきたし。」
「でも…」
「早く済ませちゃおうよ」
不安感につぶされそうな心を悟られないように、返事を待たずに歩いた。
そっと後ろを確認すると、ついてきていたので安心した。
***
資料室にいるときも自分を抑えるのに苦労した。
せめて第二でよかった。
隣の部屋に笠井と二人でいたら、俺、自信なかったな…
「えーと、あった。これ?」
「うん、そう。ありがとう…」
相変わらず目を逸らしてばかりいる。
ここまで来ると焦りを通り越して悲しくなってくる。
気が付かないうちに何かしてしまったんだろうか?……昨日のことは別として…
それとも、元々嫌われてたのか?
「…笠井今日変じゃない?」
「えっ」
「目、合わせようとしないし。俺、なんかしたかな?」
ここで振られたらしょうがない…俺は覚悟を決めた。
しかし、笠井の口から出たのは意外な言葉だった。
「あの、昨日…齋藤がここにいるの見ちゃっ…たの…」
…………………は?
「え……」
「………」
「じゃあ…」
「うん…その……」
頭の中が色んな方向に回転する。
昨日ってことは、ここってことは、つまり…
「マジかよ……」
よりによって笠井に見られるなんて…
「あの、それで私」
笠井は言葉を続ける。
いいよ、せめてきっぱり切ってくれ。
「触ってみたいんだけど、さ」