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「ボクとアニキの家庭の事情」
【同性愛♂ 官能小説】

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「僕とアニキの家庭の事情・5」-4

―ポンっ

「紅」
感情に任せて言葉を発していたボクの頭にそっと手を置き、アニキは優しく声をかけてきた。
「・・・何?」
「覚悟、あんの?」
薄く苦笑いを浮かべながら、アニキはそう切り出した。
「・・覚悟?」
「そ。男同士好きになる、セックスするってタブーは、もう越えちったじゃん」
「・・・。」
アニキは続ける。
「男同士って以上に、兄弟の間で好きになって、セックスするってタブーを、上塗りする覚悟かな」
「・・・・・。」
アニキの瞳は真っ直ぐにボクを見つめている。
どちらの答えを望んでるんだろう・・?
その澄んだ綺麗な瞳の奥、アニキが何を思ってその謎かけをしたのかは判らなかった。
―でも
「・・ビビると思う?」
ボクの答えは―
「タブーとか考えてたら・・・襲ったりするワケないじゃん・・」
少し伏し目がちにして、ボクは言葉を発する。
「そっか」
そう言ったアニキの瞳が、微かに笑ったような気がした・・・・。

―ちゅっ

「ん・・?」
気付けばアニキの口唇がボクの口唇に触れていた。
「・・アニキ?」

―クスッ

「・・・ーっ」
一瞬、アニキの笑顔がゾッとするくらいの色気を孕んだ表情に思えた。
「後悔すんなよ」
「・・え?」

―グイッ

「わっ」
不意にボクはアニキの腕に引き寄せられ、胸の中に収まる。
「・・オレも好きだよ、紅のコト」
「・・・・・ん」
優しく、語りかけるようにアニキは言葉を紡ぎ出す。
「・・・・にーちゃん」
いつ以来か、微かに石鹸の香りが残るアニキの胸に顔をうずめて、ボクは―
「ん?」
「・・大好き」
アニキに、告白をした。


「・・・・なんだってうちのがっこは土曜も授業あんだろ・・・」
結局、アニキに告った後、時計を見て我に帰ったボクは、大急ぎで用意を済ませ、アニキに駅まで送って貰った。
「・・・もーちょい話してたかったのに」
平日よりは多少空いているとはいえかなりの混み具合の電車の中、ボクは独り言で悪態をつきながら溜め息を吐く。


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