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「ボクとアニキの家庭の事情」
【同性愛♂ 官能小説】

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「僕とアニキの家庭の事情・5」-3

「いやウソ吐け、お前我慢しなくってもいーっつの・・・あんだけすっげー音してなんもねーワケないだろが・・あー、マジ大丈夫か?」
(・・・・いやいや、ヒトがへーきっつーてんのになんでこのヒトここまで焦ってマスか?)
と言って、アニキに全く心配するなって言うのもまずムリな事ではあるんだけど・・・・。
「ここか?」
突っ込み所満載のアニキの言動に心の中でツッコミを入れていると、不意にアニキの暖かい掌がボクの顔に触れる。
「ぁ・・・」
そしてもう片方の手がボクの髪を掻き分け、額を外気に晒す。
「あ、やっぱ赤くなってるし・・・今冷やすヤツ持って来る。ホントごめんな・・・?」
心底困った表情のアニキの瞳がボクを見据える。
「・・・・・」
「んじゃ、すぐ戻るからいー子で待ってろよ」
そう言ってアニキは立ち上がった。
「・・・・まだ、痛い」
「へ?」
ボクは、台所の方へ歩いて行こうとしていたアニキの背中に向かってそう呟いた。
「マジで?!あー、やっぱけっこー強くぶつけてたんじゃん・・・・どこ?ここだよな??」
予想通り、アニキはボクの呟きを聞き逃す事なく一瞬で戻って来た。
そしてまたアニキがボクの頬を掌で被い、額の赤くなっている所をさする。が、
「ううん、ここ」
そう言ってボクは、口唇を指で指し示す。
「え?」

―チュッ

一瞬キョトンとした目をしたアニキの隙を突き、軽く触れるようなフレンチキスをする。
「・・・紅?」
「・・夢じゃ、ないよね」
ボクはアニキの瞳を見据えながら言葉を絞り出す。
「昨日の、セックスも・・・キスも、ボクが伝えた気持ちも、全部」
「・・・」
アニキは視線を逸らす事なく、ただ黙ってボクが吐き出す言葉を聞いている。
「全部、夢じゃないよね?」
なにがボクをこんなに不安にさせているんだろう?
「・・・。んー・・」
と、アニキが口を開いた。
「こーう?」
まるで小さな子供に言い聞かせるような、優しい口調でアニキは言葉を紡ぎ出す。
「オレも、紅の事好きだよ」
「・・・。」
まさかここまでダイレクトに言われるとは、正直予想していなかった。
「昨日も・・まぁ、言ったしネ」
「ん。」
「ただ、オレら兄弟なんだよな」
「・・・。」
そしてこの答えも、予想通りだった・・・・。
「紅の、そのオレを好きって想いは」
結局、こうなるんだ。
「・・確かにフツーの兄弟間の好き・嫌いとは違うのは知ってるケド」
結局『血』という、決して無くす事の出来ない壁が、最後には立ちふさがるって、判ってたのに―
「それでも、『オレが紅のアニキ』だから、って言うのも―」
「―バカにすんなよなっ」

―ダンッ

「っ!」
気付けばボクは、アニキの襟元を掴み、床の上に押し倒していた。
「っざけんなよ・・俺、そんな好きの意味取り違える程ガキじゃねぇよ・・・判ってるよ兄弟だなんて!」
「紅・・」
「・・ダメ、なの・・・?俺、アニキの事、好きになっちゃ・・・っ、」
気付けば涙が溢れ出していた。
我ながら情けないとは思う。いくらなんでも普段なら2日連続でヒトの前で泣いたりする事はまずないから。
ただ、アニキが困ってるのも全然判ってたケドそれでも、好きだから・・・。


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