好奇心より強く-5
「ぅわ……ふ……うっ…」
「さいとぉ…どう?」
それをくわえたまま、齋藤のほうを見る。
「ちょっ……それ、やばいって……あっあっ…ぁあっ!」
齋藤が声を上げると同時に、口の中に苦味が広がった。
突然のことに少し咳き込んだが、思っていたよりも平気だった。
確かに全く美味しくはないけど…私は我慢できるかな。
残りを飲み込んだ。
「ごめ…ん、笠井…」
「なんで齋藤が謝るの?私、どんどんやっちゃって、ごめん…」
いきなり恥ずかしくなって何も言えなくなった。
「あのさ、笠井…」
「じゃ、じゃあまた明日、ばいばいっ!」
赤くなる顔を隠して、私はすぐ立ち上がった。
な、何やってんの、私。いくらなんでもこれは…。
「ごめんねっ」
「えっ、おいっ…」
齋藤の声が聞こえたけど、恥ずかしくってしょうがなくて、走った。
「…はぁ…やり逃げかよ…」
***
その後、また本を借り忘れた事に気付いたのは、自分の部屋の扉を閉めたときだった。