視線-1
彼からの痛いほどの視線に気づいたのは何時だっただろうか
「絶対佐久間はゆっちのことが好きだよね」
「わかるーあれだけ見つめてるもん」
「で、ゆっちはどう?佐久間のコト」
「…や、勘違いでしょ」
いつもはぐらかしてたけど本当は
心のどこかで期待をしてた
これで彼氏いない歴15年からおさらばできるかと思って
佐久間とは中1から同じクラスで
ただそれだけだった
それだけの仲だった
何時頃からか佐久間が私を見てる
その視線が熱い
そして私も彼に惹かれていった
「ただいまぁ」
「おかえり、佑衣」
「あれ?ママ化粧してる?」
「うふふ、これからデート」
「…はぃはぃいってらっしゃい」
「何言ってんの、今日は佑衣も来るのよ」
「えぇ〜」
「早く着替えてらっしゃい」
「はーい」
私は言われたとおりセーラーを脱いで私服に着替えた
ママは一足早く車に乗り込んでいた
「ママの言ってた再婚相手に会うの?」
「そうよ、かっこいい人よ☆」
「はぃはぃ」
まぁパパが死んでから5年もたつし
再婚も適齢期だしね
考えごとしいてるうちにレストランについた
遠くの席に二人の影が見えた
そこにいたのは佐久間君だった
その数カ月後
私は佐久間君と兄弟になった
あの視線の意味
やっと分かった
すべてはこの日のため
そして残ったのは、消えない想いと貴方の