ルウとリル-4
「リウ」
ルウの前で立ち止まりやっと肩で息をする。
額からは汗が球のように浮かんで流れ落ちているだろう。
首を左右に振ってルウの手を取り引っ張る。
長く居るのはキケンなのだ。
ワンボックスカーのドアが開き、わたし達は乗り込んで内側からドアを閉める。
外を見つめてあの男が居ないのをわたしはそっと確認した。
すぐに車は発進し今走り抜けてきた風景が流れていく。
握り締めたままだったルウの手を離し、サングラスを外す。
ルウは血だらけのパーカーを脱ぎ始めていてその背中に斜めに掛けられたベルトに血だらけのナイフが二本差さっていた。
「お疲れさま」
ルウにそっと声を掛ける。ルウがベルトを外す手を止めてわたしを見て笑みを浮かべた。
「お疲れさま」
運転席に座っている真っ黒なサングラスを掛けた男が携帯電話を放り投げてくる。
それをルウが受け取り一箇所しか登録されていない番号へ電話を掛ける。
静かな車内に音が漏れる。
きっちり3コールで電話が繋がる。
機械を通したような声が漏れ聞こえる。
「……はい、はい。……了解しました」
ルウがいつもの受け答えをして、電話を切り助手席のシートの上に電話を置いた。
その間にわたしはパーカーを脱ぎナイフを外した。
「いつも通りタイキ」
ルウが呟き、わたしも頷いた。
その後の車内に会話はなく、わたしもルウもお互い顔を合わす事も無く背を向けるように窓から流れる景色を見ていた。
30分程走ると車は高級マンションの駐車場へ入った。46と書かれたブースへ駐車すると運転席の男がルウに鍵を投げてよこす。ルウが受け取りわたし達は先に車から降りる。ナイフやパーカーは車内に置いたままだ。
先に歩き出したルウに近寄りそっと手を握る。ルウは何も言わずその手を握り返してくれる。
エレベーターを呼び二人で乗り込み、18階のボタンを押した。数十秒でエレベーターの外へ出てマンションの廊下を歩く。
わたし達はやっと事が始まる前の二人に戻れる。
「お腹すいたな」
ルウが言い廊下の一番奥の角の部屋のドアの鍵を開けた。
自動的の明かりが点き靴を脱いで二人で一緒に部屋へ上がる。
そのまま廊下の真ん中の扉を開ける。
そこには脱衣所がありその奥には部屋を出る時には用意していなかったのにバスタブには適温に設定されたお湯が張られたバスルームがある。
わたし達はゆっくりと来ていた衣服を脱ぎ、おそろいの黒い長袖のTシャツを脱いだ。下着も全部外してバスルームへ入った。
シャワーを順番に浴びながら少し大きめのバスルームの鏡を見る。
二人とも身長も顔もほぼ瓜二つ。
鏡に映った姿は子供の姿。
胸も出ていないし、毛も生えていない。
唯一違うのは髪の毛の長さとルウの目の下に黒子があることくらいだ。
そう。
わたし達は双子。
小学生くらいにしか見えない子供。
でも、自然界には一卵性双生児の男女の双子は存在しないのだ。