僕らの日々は。〜東の海の眠れない俺ら〜-8
▼▼
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま!」
「うん、美味かったな!」
「美味しかったねぇ」
「確かにな」
「お魚が美味しかったわ」
旅館に着いてから部屋に荷物を置いて(当然だが部屋は男女別だ)、一度温泉で汗を流してから夕食となった。
海に近いだけあって、魚介類がとても美味しかった。
うん、来てよかった。
「さて、夕食も済んだところで……」
皆が食べ終わったところで狭が話し始めた。
「沖春。夏の夜の定番と言えば何だ?」
「へ?夏の夜………あー、花火とか?」
「それもあるけどな。夏の夜と言えばアレだろ!」
「何だよ?」
安良の問いに、狭は自信たっぷりに答えた。
「『肝試し』に決まってるだろう!」
肝試し。
それは夏の定番的なイメージを持ちながら、やる機会はそんなに無いという、隠れたレアイベントだ。
「肝試しぃ?……今日は疲れたし、別によくね?」
「何を言う安良!正月にはおみくじを引いて運試しをするくせに、夏休みには肝試しをしないと言うのか!?」
「いや、意味分かんないよ狭……」
狭は喜々として熱弁を振るっている。
まぁ、確かに狭が好きそうなイベントである。
「安良、お前は自分の肝力を試したいとは思わないのか?」
「思わねーよ、そんなキモい力……」
「肝力だけにキモい、か…………。30点だな」
「別に上手い事言ったつもりはねーよ!しかも点数低いな!」
「でも、面白そうじゃない?」
一葉が乗り気で言う。
まぁ、確かに一葉が好きそうなイベントではあるが……。
「おぉ!やっぱ篠宮は分かってくれるか!」
「それで狭君、コースは決まってるの?」
「よくぞ聞いてくれた!事前に計画はバッチリだぜ!コレを見ろ!」
喜々としてそう言うと、バサッと一枚の紙を広げた。
「『肝試しコースマップ』……作ったのか、コレ」
「あぁ!手書きだぜ!?」
「そりゃまたご苦労様な事で……。で、どんな道を通るんだ?墓場とか?」
「任せとけ。厳選したスポットを用意したぜ!」
まずここ、と狭がスタートと書かれた場所を指す。