僕らの日々は。〜東の海の眠れない俺ら〜-4
『組の若いモン』で分かるように、真白さんの家は、要するに、そっち方面の方である。しかも組長。
「私から見ればただの過保護なオッサンよ」
「いや、あの人の迫力凄いけどな。俺は小さい頃から見てて慣れたけどさ」
「わ、私も何度か灯ちゃんちには遊びに行ったけど……お父さん、凄いよね。優しい人なんだけど」
ま、ね。と頷いてため息一つ、真白さんは続ける。
「職業上、威厳が無いと成り立たないのは分かるけど……。私からするといい迷惑なのよね。知らない子は私の名字のせいで怖がって近づいてこないし……」
「いや、灯が怖がられてんのは名字のせいじゃねえよ。お前個人のせいだよ」
「どういう意味よ、安良」
「や、言葉通りに取ってくれて構わないが」
ぎゃあぎゃあ。
……あぁ、今日も平和だ。
そんないつも通りの情景を楽しんでいると、狭が呟いた。
「さて、今から海に行くわけだが」
「何だよいきなり?」
「ビーチといえば何だ、沖春?」
「はぁ?あー…、砂浜?」
「日本語訳にしただけじゃないか」
呆れたようにツッコむ安良の声。
「違うな。この時期のビーチと言えば……クラゲだ」
「「クラゲ?」」
僕と安良の声がハモる。
「いやまぁ、確かにいるけど…」
「クラゲがどうかしたのか、狭?」
チッチッチ、と指を振り、
「甘いな。クラゲは……割と高級食材らしいんだ」
……なんか嫌な予感がする。すっごく。
「つまりだ!俺は今日ビーチでクラゲの可能性を探求する!」
「……要するに何だよ?」
「喰う!」
「やめろアホ!」
何が悲しくて健全な男子高校生が海にまで来てクラゲを喰わねばならんのか。
……そんな光景が見える海、嫌だ。
「ただ問題は98%以上水分らしいから、味があるかどうかだが……まぁ問題無いだろう」
「問題無いのかよ!」
そもそも普通に食べれるモノじゃなかったと思う。
「そういえば私、小さい頃はキクラゲってクラゲの仲間だと思ってたわ」
「あ、一葉ちゃんも?私もなんだぁ」
「昔っていうか……。夢逢はこの前までキクラゲが海産物だと勘違いしてたじゃない」
「あ、灯ちゃん!それ言っちゃダメだよぅ!」
わたわたする満月さん。
それを見て狭が笑う。