SHOCK-6
☆☆☆☆☆
「シュッ!」
「ほっ!シュッ」
「シュッ!シュッ!」
「大きく振りかぶってぇ、シュッ!」
何してるかって?もちろんケーキの飾り付けに決まってんじゃない。
目の前のコタツテーブルには生クリームと苺でデコレーションしたケーキがある。あとはこの銀色のザラメを載せるだけ。
初めは普通に飾ってたんだけどだんだんエスカレートしてきてしまいには投げてデコってるって始末。
四方から飛び交うザラメ。もちろんケーキに着地出来ず床に墜落したザラメも少なくはない。
「よしこんくらいでいいだろう」
綺麗のきの字も思い浮かばねぇ。
「てか、何でシャンメリー?絶対シャンパン買ってくるかと思った」
莉緒が袋からシャンメリーを取り出しながら言った。
「何かクリスマスっぽくない?」
確かに、と言いながら表面のビニールを剥がす。
「いや、これはシャンメリーじゃない!」
急に琴乃がシャンメリーを奪い取った。
「これは…ドンペリ」
そう言って手近にあったマジックペンで直接ビンに『ドンペリ』と書いた。
「何か可哀想」
「かなり適当だなぁ」
「ビンめっちゃ書きづらいんだけど」
琴乃がビンをテーブルに置いた。
この何とも言えないショボさ。グッジョブ琴乃。
すると深雪が
「写真撮ろ!」
どこからともなく使い捨てカメラを取り出しご馳走をテーブルに並べ出した。
「入学式のやつ余ってんだよね」
何年前だよ!
「はい、撮るよー」
あたしたち三人はご馳走の後ろに並んでくっついた。
「楽しんでますかー?」
「楽しいーっ!」
『いーっ』の口であたしは写真に写った。それが今の楽しさを表す最高の表情だから。
「しっかしこのドンペリショボいわ」
莉緒の言葉に何故か分からないけどあたしたちは爆笑した。