SHOCK-12
☆☆☆☆☆
兄貴たちと暫く麻雀をしていたけれど、酔っ払いたちはとうとうリタイアしてしまった。
部屋にはまたあたしたちだけが残った。
でも、今は深雪が麻雀を片付けに部屋を出てったので三人だけど。
さっきまでのやかましさがまるで嘘のようにしんとしていて、時計のカチカチと時を刻む音だけが妙に響いていた。
一番最初に口を開いたのは莉緒だった。
「凄まじかったなぁ」
全くですよ。
あたしはうんとテーブルに顎を乗っけたまま頷いた。
「特に兄貴凄まじい」
またうんと頷く。
「てぇかさ、兄貴、甜華のことかなり気に入ってない?」
「っはあ!?」
琴乃がいきなりあまりにも衝撃的なことを言うもんだから、あたしはつい大声を上げてしまった。
「思った!あれ狙われてるって、絶対」
莉緒まで。
「どこをどう見ればそうなる訳?」
「いや、態度がもう。ねぇ?」
「うん、超楽しそうだったよー。しかも、ずっと甜華のこと見てた」
「あー見てたねぇ」
うっそ…。
「んな訳無いでしょ。ウチらなんて兄貴たちから見たら糞ガキだよ糞ガキ!糞ガキなんて相手にしないでしょ普通。しかも、この、あたしだよ?無い無い無い無い」
あたしはぶんぶん手を振った。
「でも甜華、イイ線行ってんかんねぇ。口開かなきゃ」
「そうそう、口開かなきゃ」
「じゃーもうアウトじゃん」
あたしは今、普通に会話出来てるかなぁ。
誰にもあたしの気持ちバレて無いよね。あんなん言われたら普通ドキッとすんじゃん、ビビんじゃん。
これが事実ならこんな経験一回も無いんだもん。微塵も無いんだもん。やっぱちょっと嬉しいじゃん。
本当に兄貴と話すのは面白かった。こんなに男の人の前で初めから素でいられたのは初めてだ。
だから機会があればまた…遊びたい。
あくまで『機会があれば』だけど!
そんなことを心の中で思いつつ、あたしはそういえばと時計を見た。
★☆★☆★
日付はもう25日になっていた。
メリークリスマス。
心の中でそっと呟いた。
【END】