SHOCK-11
「ワンッ」
もうこれしか思いつかなかった。
すると
「ワンッて!」
兄貴はブーッと吹き出した。
「えっ?何?鳴くって?」
「役ついたからロンって」
「ロロロ、ロン!」
兄貴は暫くアッハッハと大声で笑っていた。笑われたことは恥ずかしい。けど、それだけじゃない。
楽しそうな兄貴の笑顔を見てるとあたしも楽しくなってくる。兄貴と一緒になって笑ってると心が一杯になった。あたしが笑顔にさせてんだって思うと、ちょっと嬉しくなった。
★★★★★
「笑い過ぎ!」
「アッハッハッハッハ!」
ワンッて!
こんな面白い娘初めてだ。
「笑ってないで役って何!?」
「ん?順子」
「へーチュンシ」
彼女は嬉しそうに頷いた。
「おわー、甜華すげぇ」
深雪が身を乗りだした。
「彼女、やるねぇ。じゃもっかいやろうか」
ジンが牌をジャラジャラと回した。
俺の隣で彼女は「ジャラジャラ楽しい」と呟いた。
俺は彼女の横顔を見つめた。
キラキラしてる。
本当に今まで会った誰よりも。
一時間ぐらい麻雀をしていたが段々眠気に勝てなくなり、俺たちは深雪の部屋を出ていった。
晴生たちを見送った後俺は自分の部屋に戻りベッドにダイブした。
目を閉じると彼女の笑顔が浮かんでくる。
あれだよな。
彼女を見た瞬間こいつだ、と思った。心臓がドックンと大きく鳴った。
自分には絶対無いと思ってたけど、これってあれだよな。
『一目惚れ』って…ヤツだよなぁ。
俺はゆっくり瞼を開けると枕元にある時計に目をやった。