SHOCK-10
「これは?」
「おっ、来た来た。それ、ポイしちゃだめね」
「はい」
しかし気になるその頭。
何でマフラー巻いてんだろ?
「あの何でマフラー」
「あ?」
怖っ!
「いや、何でも」
「だめだめ!気になるからいいなさい」
「あの、じゃあ、何でマフラー巻いてんの?…ですか」
「え?」
すると兄貴はわたわたとマフラーを外そうとした。けれど、きつく巻かれているらしくなかなか取れず、その上酔っているもんで手元が覚束ない。
さっきまで怖いと思っていた人のそんな光景を見て、あたしは吹き出してしまった。
何だ、面白い人じゃん!
★★★★★
あーもー最悪だ。
メモリー外すの忘れてた。
「クッフフフフ」
彼女は口元を手で押さえて笑いを押し殺している。
「ちょっと貸して」
ふいに彼女が俺と向き合う状態になった。
そして俺の頭に彼女の手が伸びて
「取ってあげる」
メモリーを外してくれた。
その最中、俺はずっとドキドキしていた。女というものに対して初めてドキドキした。
「はい!」
彼女は俺の前でニッと笑った。その笑顔は今までに会った女性の中でも一番、可愛いかった。
☆☆☆☆☆
取ってあげたマフラーを兄貴に手渡した。
兄貴は
「どうもどうも!」
と頭を下げる。
その頭はどれだけ前からマフラー巻いてたか知らないけど、もう恐ろしいほどぐっちゃぐちゃだった。
それもまた面白い。面白いから兄貴には言わないでおこう。
「はい、牌取って」
あたしは兄貴に言われた通りにする。
「これは?」
「来たーっ!ほれ鳴け!」
鳴け?
「え?」
「ほら早く!」
鳴くってんーと…。