過ぎ去りし夜に揺れる華-2
ああごめんごめん、実は付き合ってる人がいてその人と結婚するんだ。だから、桜に・・。
えっ?
意味が分からない。
だが健二は話しを続ける。先ほどどいた席に見知らぬ顔の女性が座っている。
で、今度結婚する相手の彩華。どうしても、桜に紹介したくってさ。
そうなんだ。
その言葉しか口に出せなかった。
当たり前だ。何一人ではしゃいでたんだ。何健二の話をよく聞かないんだ。馬鹿みたい。
溢れてくる涙を堪えながら私は健二と彩華に話しかけた。
良かったね。おめでと。ごめん今から用事あるから帰るね。
顔もみず振り向きもせず私はただ一目散に家に帰った。
ベッドでうつ向けになり泣き続けた。涙が枯れても構わなかった。私馬鹿みたい。
そうずっと自分自身を責め続けた。
あれから何時間たったか分からない。辺りが真っ暗になっていた。
ふと机に目をやると、昼間読んだ手紙がある。
あの場所から逃げた私が急に恥ずかしくなってきた。
好きだったんだから、ちゃんとおめでとを言えば良かった。
今さら会って言う自信もない。
そうだ、手紙を書こう。きっと私の気持ちを伝える事ができる。
さっそくペンと紙をとり机に向かった。
健二へ
今日は慌ただしくてごめんね。
本当はね。健二達が幸せになる事がすごく羨ましかったの。
私が一人取り残されるような気持ちだった。
いつもいつも近くで健二を見てたんだよ。
あんたは鈍感だったから気付かなかったと思うけど。(笑)
まあでもそんな健二を見てるだけで幸せだったの。
だから今日呼び出された時本当に嬉しかったの。
言おうかどうか迷ってたけど、せっかくだから言うね。
健二の事が好きだよ。今でもずっと。でもそれは恋愛感情を通り過ぎてずっと健二、そして彩華さん二人の幸せを見つめていたいと思うの。
この先あなた達二人を見つめ続けて私は幸せになる。
だからしっかり離さず仲良くするんだよ!
じゃあまたね。
桜より
手紙を書くうちに考えがまとまり気持ちが治まった。
ある意味今までの私よりいきいきしているかもしれない。
私はおかしくなって一人で笑った。おかしいはずなのにまた涙が溢れてきた。
おかしいな。ふっきれたはずなのに、でも今日だけにしよう。泣くのは。本当に二人幸せにね。
私は泣きながらそして笑いながら封を閉じた。
end