喫茶バニラ〜フランケンシュタインの恋@〜-1
お父さん
お母さん
熱いよ…
苦しいよ…
真っ赤で…
何も見えないよ…
お父さん
お母さん
どこにいるの…?
優美ちゃんが大変なんだ。
呼んでも叩いても
返事してくれないんだ。
もう優美ちゃんと遊べなくなっちゃうの…?
痛いよ…
熱いよ…
僕、怖いよ
真っ赤っかお化けに食べられちゃう。
怖いよ…
怖…い……よ。
またこの夢だ。
俺が独りぼっちになった日の夢。
18年前、俺がまだ5歳だったクリスマスの日に、父さんと母さんと妹は火事で死んだ。
しかも妹の優美は目の前で死んでいた。
あの夜、サンタがプレゼントを持ってきてくれるのが楽しみで、俺はなかなか寝付けなかった。
隣にいる優美が寝たのをみて、俺は寝布団を頭までかぶり、息を潜めてサンタを待っていた。
しばらくしてあまりの暑さと、ゴゥ…ゴゥ…という聞き慣れない音に気づき、顔を出してみると
そこは一面火の海だった。
隣をみると優美の布団に火が移っていた。
あわてて優美を布団から引っ張り出し、起こそうとしたが、優美はぴくりとも動かなかった。
幼い俺には死が理解できていなかったが、なんとなくもう優美と遊べないことは分かっていたみたいだ。
幸か不幸か、優美を抱えて気絶しているところをレスキュー隊に助けられたらしい。
そして俺は天涯孤独の身になった。