喫茶バニラ〜フランケンシュタインの恋@〜-3
「どうぞ。」
一言声をかけると、彼女は我に返ったようだ。すみませんと小声で言い、美佳さんの隣に座った。
「あのっ、おすすめは…?」
彼女は遠慮がちに聞いた。
俺は無愛想にブレンドでございますとだけ答え、カップを磨き始めた。
「ごめんね〜。無愛想で。彼、いつもこうなのよ。」
美佳さんは眉を下げて困ったように言った。
「でも、ここのブレンドは絶品よ。」
その一言に促されるように彼女はこちらをみた。
「じゃあ、ブレンドください。」
ブレンドコーヒーの香ばしい香りが漂い、心地よい沈黙の時間が流れる。BGMのジャズと、コーヒーを入れる音だけが空間を支配している。
「ブレンドコーヒーでございます。」
これが彼女、小林真子と俺、須藤健太との出会いだった。