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一字違いの運命
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一字違いの運命〜〓〜-1

さて、聡が運命だと言い始めて早1ヶ月。


「やっぱり俺と里美チャンは運命やんなぁ〜」
と、相変わらず。

よくもまぁ、名前しか知らんような子と運命だなんて想えるよなぁ・・・そもそも里美チャンがどんな子かこいつ知ってんのか?すげぇ性格悪いかもしんねぇし、もしかしたらもぅ彼氏とかいるかもしんねぇし。

『・・・よし!俺が一肌脱いでやろう!』

聡は幼なじみで親友だ。かなり訳分からん奴だけど俺にとってはすげー大切な奴。そんな大事な奴をどこの馬の骨ともわからんような女に聡はやれん!なんて、親父みたいな事を想いながら俺は情報集めをする為に聞き込みを始めた。


聞き込みを始めて一週間で分かった事。

名前は小山里美。

17歳。

好きな食べ物、クリームパン。


・・・・・・俺の一週間を返せ!なんだこの情報の少なさ!
重要な事が何一つとしてわかってねぇじゃん・・・。好きな食べ物とかどうでもいいよぉ。こんな情報だけじゃ聡も喜ばねぇよなぁ・・・。でも一応伝えるだけ伝えるか。

「・・・聡。」

「おっ、知幸。どないしてん?元気ないやん?」

「あんな、里美チャンの事でちょっとわかった事あるから教えとこうと想って。里美チャン、クリームパンが好きなんだって。」

「・・・・・・。」

うっ・・・沈黙。
確かにだからなによ!?って感じだよな。ごめんな、聡。俺あんまり役に立たねぇや。

「・・・っしょや!」

「は?」

「一緒や、知幸!俺もクリームパン大好きやねん!すげーなぁ!やっぱり俺等運命やなぁ。知幸、ありがとう!」

「ぉ、おぅ・・・」

聡は満面の笑みで「俺と里美チャンは運命や〜♪」と訳わからんメロディで歌ってる。

こんな事でも喜んでくれるだなぁなんて聡の単細胞さに感謝、感謝。
なにはともあれ俺の一週間はどうやら無駄ではなかったようだ。


俺はすこぶる気分が良くなって「聡と里美チャンは運命だ〜♪」と、聡と一緒に歌ってやった。

まだまだ先は長いが俺は聡の運命とやらを見守ってみることにしよう。聡が幸せになってくれたら俺も幸せだから・・・。


「知幸、音痴やなぁ〜!」

「・・・。」
やっぱりこいつうぜぇ・・・

つづく


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