ストーカーなはずがない-4
アイドルオタクという理由だけでいじめられ、辛い日々を送っていた姉。アイドルへの愛と学校での日々、どっちも選べなくて苦しんでいたのを俺は知っている。
だから、彼女が姉の悪口を言った俺を『許さない』と言ったとき、俺は嬉しく感じた。
それに、俺の言葉に臆せずに自分の信念を曲げない彼女を、もっと好きになれた。
初めて、本当の彼女に触れた気がした。
家に帰って姉に今日のことを話すと、姉は驚き怒った。
好きな人にも怒られ、姉にも怒られるなんて災難だ。
「あれ、姉ちゃん出掛けるの?」
「うん」
以前に交わしたような会話。
「今日はね、」
そこで切って彼女は微笑んだ。
「ユリアちゃんと買い物行くの。次のライブに備えて」
「…そっか」
俺は、嬉しかった。
俺も、一歩を踏み出そう。
優里さんがアイドルオタクとしての自分を受け入れたように。