ストーカーなはずがない-3
──翌日。
教室へ入ると無意識に彼女を探した。
いた。
友達と何か話している。
いつもの俺ならただ見ているだけだった。
でも、今日は違う。
俺は彼女が許せなかった。
彼女が学校で見せていた姿は、俺が好きな彼女は偽りだったなんて。
クールで高嶺の花な彼女は実はただのアイドルオタクだったなんて。
本当は分かってる。
こんなのはただ俺が勝手に思い描いていただけ。
でも、彼女に裏切られたような、そんな気がするんだ。
「ねぇ、ちょっと」
俺と彼女の、初めての会話が始まった。
話が長くなりそうだから昼休みにすることにした。本当は俺の気を落ち着かせるためだが。
ずっと好きだった優里さんと話せた。
本当は喜ぶべきところだろう。でも、これから俺は彼女を傷つけてしまうだろう。
もっと違う機会で話せたら。
俺は自分を恨んだ。
案の定、俺は彼女を傷つけてしまった。
でも、俺も傷ついたんだ、これでおあいこだろ?
ただ、嬉しかったことがある。
彼女は姉を『友達』と言ってくれた。