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一字違いの運命
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一字違いの運命-1

「里美〜!早くしないとパン売り切れるッッ!」

100メートル先くらいから女の子が大声で叫んでる。

「んー、今行く〜」

後ろから呑気そうな声が聞こえたと想ったらブンッと音がするくらいの勢いで俺の隣にいた奴が声のほうに振り返った。

そしたら奴は里美と呼ばれた子を見ながら停止・・・

「・・・聡?どしたん?」
一向に動かねぇ奴に声をかける。

「・・・っけた。」

「はっ?」

「っぃに・・・ついにみっけたわ、知幸!」

聡に力強く両肩を掴まれそう言われたが俺の頭ん中は?マークでいっぱいだ。

その間に里美と呼ばれた女の子は俺逹の横を通り過ぎ、声をかけてた女の子と歩き出してしまった。

それをじっと見つめる聡。

聡をじっと見つめる俺。

「いやいやいやッッ!何をみっけたの?!」

「運命の子や!」


・・・・・・運、命?

「何、運命って・・・?」

「知幸、運命も知らんの?運命っちゅーのはなぁ」

「運命くらい知っとるわ!なんであの子が運命か聞いてんだよっ!」


あ、そうゆう事ねなんて呟きながら聡は頷いた。

「あんな、俺の名前は?」

「聡」

「じゃぁさっきの子の名前は?」

「・・・里美」

「せやろ?聡と里美。だから運命やねん!」


まったくちんぷんかんぷんな話だがよくよく聞いてみると「さとし」と「さとみ」は1字違いで尚且その1字も母音が一緒だから奴曰くほぼ同じ名前らしい。

「はぁ・・・だから運命ってか・・・?」

「せやでッッ!すごいやろ!俺、ずっと探しててん!」

興奮冷めやらぬ聡。運命ってそんな簡単なもんか?そもそも運命って相手もそう想ってないと成り立たないんじゃねぇか?なんて事を今の聡に言っても聞かねぇだろうなぁ・・・そう想いながら一つ小さな溜め息。


そしてこれからこいつに振り回されるかと想うと大きな溜め息をもう一つ・・・

あー、めんどくせぇ・・・
つづく


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