夏の終わりにA-4
んん…あっ…ああ…
ドアー越しに聞こえる潜もった声。私はゆっくりとドアーを開いた。
覗いた先には、パジャマの下を脱ぎ捨て、四つん這いの恰好でパンツの中をまさぐる愛理の姿が見えた。
「…あっ!…ぅんっ…ぁんっ!…」
指の動きに合わせて身体をくねらせ、歓喜の声をあげている。
その姿をジッと見つめ、私は唾を飲み込んだ。
複雑な気持ちだった。幼かった妹が快楽に溺れてる姿を目のあたりにして、嫌だと思いながら私のペ〇スはその場景に興奮し、硬くなっていた。
「…うんっ!…んんっ!…」
絶頂を迎えた愛理は、そのままベッドに倒れ込む。私はそっとその場を離れ、自室へと戻った。
───
「砧ぁー!いくぞぉー!」
「ハイッ!お願いしまーす!」
滑るようにバウンドした打球が向かってくる。私は地面を蹴って前に廻り込み、グラブでボールを掴むとキャッチャーに返す。
恒例の100本ノック。
これからの30分間、休む間もなく打球が飛んでくる。私は必死になって追い駆けた。
全身が暑くなる。汗が吹き出して額から流れ落ちる。
残り30球あまりだったろうか、それまで駆け廻っていた脚が、突然、動かなくなった。
(…えっ?)
身体が異常だと気づいた次の瞬間、見えてるモノがぐるぐると回りだし、そして目の前が真っ暗になった。
消えいく意識の中で、チームメイト達の声だけが遠くで聞こえた。
(……?)
目を開くと白いモノが見えた。
「……!……!」
耳元で何かが怒鳴っているようだったが、私にはよく解らなかった。
しばらくすると、最初に目の焦点が合ってきた。そして次に、耳が聴こえるようになった。
「正吾、大丈夫か?」
朦朧とした中で、私は白い天井を眺め、声の主がチームメイトの太田だと気づいた。
「……ここは?」
「保健室だ。オマエ、練習中に倒れたんだよ」
「……そう言えば、コーチのノックを受けてて…」
「熱中症だってさ。けっこう大変だったんだぞ。ユニフォーム脱がせて身体冷やしたり、朦朧としてるオマエに少しづつスポーツドリンク飲ませたり…」
太田は詳細にわたり、私に説明してくれた。