「轍」-1
真っ黒な空だった
星と月、ポツポツと光る民家以外はなにも見えない
そんな中、俺たちはただ黙々と歩いていた
50km先のゴールに向かって
『轍』
うちの学校では卒業間際に夜間歩行をするという行事がある
その名の通り、夜に歩くのだ
クソ長い50kmの道のりを
楽しそう、だとか青春っぽい、だとか言って騒ぐアホどももいるが、俺は正直嫌だ
ダルい・めんどい・眠い
この三点につきる
文句を言っていても、時間は待ってくれない
とうとう当日だ
校長の長ったらしい開会宣言とやらが宣言されている
……ダルい
しんどくなったら後ろからくるバスに乗っけてもらおう、うん
そんなことを考えていたら、誰かの視線を感じた
……水月彩香だ
実は高校3年間、密かに好きだったりする
まぁ叶うことのない恋だけど
気がつくと水月は横にいる友達としゃべっていた
勘違いだったのかな?
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開会宣言も終わりとうとう夜間歩行がスタートした
と言っていてもダラダラ歩いているだけで、なんの緊張感もない
それぞれが他愛ないことを話たり、歌を歌ったたりしている
…そんなことをしてたら体力がなくなるだけなのに