「轍」-4
みんながぞろぞろと橋を渡る
風がゴォゴォ吹いて足元がふらつく
周りは風の音と鉄筋が軋む音しか聞こえない
ズッ、ズズッ、ヒック
誰かがすすり泣く声が聞こえた
鼻の奥がツンとしてきた
とまれ、とまれ、とまれっ!
いくら念じてみても無理だった
俺の頬を後から、後から涙が伝う
…わかってたんだ
わかってたんだよ
俺は怖かったんだ
みんなが自分から離れていくのが
最初から友達は作らなかった
後で寂しい思いをしたくないから
水月彩香にも自分の気持ちを伝えなかった
何かが壊れるのが怖かったから
そして今わかってしまったんだ
俺はこのクソみたいな学校と
馬鹿なこいつらが
どうしようもなく好きだったんだ
寂しい、寂しいよ…
最後の最後に気づくなんて……
俺は流れる涙を潮風に任せて、目線を上げた
涙で滲む視界の中に水月彩香が映る
好きだ
好きだ
好きだっ!
ぼんやりした思考の中で俺はある決意をした