「轍」-3
今の時刻は・・・
2時か……
もう月と星と遠くに見える民家の光しか見えない
なんでこんなことしてるんだろ
いつもならベッドに入って寝てるところじゃないか
クソみたいな行事考えやがって
俺は疲れによる怒りを見えない誰かにぶつけていた
その時
ッガ、ザザッ!
前の女子が躓いて倒れた
膝からは血が出て、足を庇うように立ち上がっている
おいおい、大丈夫かよ
あんな様子じゃ、もう歩けないな
後から来るバスに乗せてもらうのか
ッ!?
俺は目を見張った
その女の子はポロポロと涙を流し、歩きたい、歩きたいと泣いている
そして隣にいた彼女の友達らしき子が、黙って彼女の荷物を持った
自分の荷物の上にだ
彼女はありがとう、と赤い目をニッコリ細めて再び歩きだした
なんだか分からないけど、自分が恥ずかしくなった
さっきの醜い俺の気持ちを今すぐ消してしまいたいと思った
ジンジン痺れる足を引きずって歩いていると、海に出た
……瀬戸大橋だ
これを渡ればあとはゴールだ…!