「轍」-2
強がりを言ってみるが、隣を歩く人がいないぽっかりとした何かは消えない
虚しさというのだろうか?
自慢と言っちゃなんだが、俺には友達と呼ぶ存在がいない
いちいち他人と行動するなんて、めんどくさいし、高校を卒業すればみんながバラバラになるに決まってる
だから友達を作る気も、恋愛をする気も俺にはない
水月彩香に対する気持ちは一生誰にも言わない
俺は間違っちゃいない
・・・おっ、もう中継地点だ
親たちが豚汁やおにぎりを準備して待ってくれてる
ありがたいことだ
一回休憩すると体が重くなっていることに気づく
あたりも薄暗くなってきた
みんなの顔にも疲労が浮かんでるな…
あっ、水月彩香だ
…笑ってる
まだ元気なんだな…
さて、集合がかかったことだし、行くとするか
風も強くなってきて、辺りはもう真っ暗だ
ここからが地獄の夜間歩行の始まりだ
……足がいてぇ
豆が潰れたな、こりゃ
周り見渡すと喋ってる奴なんて誰も言ない
みんなただ唇を噛み締めて、自分の足元だけを見てる