夏、そして夏。Goal!!-1
ただ、ただ、必死で、
でも、
ずっと泳ぎ続けたい――
そう思った。
「おめでとう!」
その言葉で我に返る。
え?
上からタイムキーパーがあたしに向かって手を差し伸べていた。
あたしはその手をとり、プールから出る。
オメデトウ――
マケタヨ――
イイレースダッタネ――
一緒に泳いだ他校の選手たちと無意識にあたしは握手を交わしていた。
そうだ、あたしは、
改めて電光掲示板をみる。『2』の文字の横にはタイムが表示されていた。
「‥すっごいタイム」
『あささーん!!』
あたしは観客席を見上げた。みんなが手を振っている。
あたしは高々と右手を上げ、Vサインを出した。
やった、やったよあたし。
やったぁぁぁっ!!!!
「麻ちゃんっ!」
チーちゃん!
「おめでとー!」
そう言ってまだ濡れているあたしに抱きついてきた。
「やったよ、チーちゃん。あたし一番になれたよ!」
「うん、うん」
チーちゃんは泣いているように思えた。
そしてまた皆のいる観客席に手を振った。
『やったぁぁぁっ!!』
「伴ちゃんは?」
あたしは観客席に伴ちゃんがいないのに気付き、チーちゃんに聞いた。
「さっそくインタビュー受けてるよー」
チーちゃんの指差す先に、記者たちに囲まれた伴ちゃんがいた。
伴ちゃんはあたしに気付き、「来い」と手招きをした。
伴ちゃんは何も言わず微笑んで、あたしの頭を撫でてくれた。