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7番目の月〜Ruby〜
【幼馴染 官能小説】

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7番目の月〜Ruby〜B-1998--11

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2000年3月・卒業式


千華は答辞を読んだ

途中で声が止まって、泣くのを堪えているのが分かった

その姿が引き金になって皆が、親やセンコー達までも啜り泣き始めた

でも、結局千華は最後までしっかり読み終えて、涙を見せず毅然として席に着いた

そして俺は…
俺は…泣く事さえ出来ないくらい空ろでその空間にいた


式が終わると親達は“卒業を祝う会”と称してホテルでセンコー達と飲み食い

卒業生達は親共の留守の間に、ファーストフード店やファミレスで可愛らしい卒パーをする

千華も同じ高校に進学する奴等を含めたグループで、何処かに消えていった

俺は…
施錠された校門に寄り掛かって一人、アホみたいにしゃがみ込んでいた

やけに寒いと思ったら、制服の釦が全部無くなって前が全開だった

ああ…誰かも分かんねぇ女子共に毟られたんだっけ…

蹲って丸くなる


もう明日からここに来れないんだよな

ここに来ちゃいけねぇんだよな

話は出来なくても、隣りのクラスをそっと覗けば千華は居た

でも、もう千華もここには来ない


太陽が校舎に隠れ始めても、立ち上がる気力も無く座り続けていた

足の感覚はもう冷たく麻痺して動かない


千華…俺達はこのまま終わりなのかな

ずっと違う世界で生きてくのかな

どうして何も出来なかったんだ

千華は俺を忘れていくんだろうな…

あんな事しなけりゃ良かった…


ぽつぽつ…雨が地面に当たる音がして制服を重く濡らしてく

髪を濡らした雫が頬に落ちる

それに混じって温かい雫も落ちてきた

馬鹿だ俺

情けねぇ…

どうせなら、千華の答辞ん時に泣いてやりゃ良かったのに


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