「中空の庭園」-5
「…僕はまだ、満足してないんだよね」
舞の手を拘束していた紐を解くと、先輩は繋がったまま器用に体位を入れ替えた。
「やっぱり、この方が動きやすいよね」
力のまだ入らない舞を俯せにさせると、腰に手を当て手前に引く。
それにより舞は、うずくまったまま、お尻だけ高く突き上げたポーズにされる。
「淫らだよね。こうやって男を挑発して生きてきたんだもんね、アリスは」
グリグリと胎内を抉られ舞は小さく鳴き声を漏らす。
「んぁっ…はひぃんっ…そこっ…やぁっ…なんか…変になっちゃ…うっ」
もっと気だるい余韻に浸っていたかった舞だが、胎内を穿つ力はそれを許さない。
再び覚醒してきた痴情は、舞の感覚をより鋭敏にさせ、少しの律動ですら頭をおかしくさせる。
「やぁっ…もっ…なんか…へんっ…ぁん…ぅあんっ」
辺り構わず気色の叫びを上げる舞に先輩は苦笑した。
「…そんなに声を上げると誰か来るよ。くすっ。それとも“花姫”は誰かに見られていた方が感じるのかな?」
ふと…ある男の顔が舞の頭を寄切る。
途端に、カァッと体温が上昇していくのが分かった。
「ふぅん。図星か。誰のことを思いだしたの?」
これ以上、叫びを漏らさぬように、必死で堪えながら舞は首を横に振る。
「言わないなら、このまま中に出しちゃうけどいいの?」
腰の振りが一層激しさを増す。
「あ…でも、“花姫”なら中に出しても大丈夫か。なら…」
動きが止まったかと思うと、舞の視界は突如暗くなった。
「その人のことを思いながら僕に犯されなよ」
視界が塞がれただけで、感覚は飛躍的に上昇する。
繋がった部位が立てる卑猥な音。
頬を撫でる風。
胎内をかき回す欲の塊。
「ぁあん…ふぁっ…はん…あん」
そして、堪えてもこぼれ落ちる淫らな自分の声。
「舞は本当に悪い子だね」
名前を呼ぶ声が脳髄を溶かす。
まだ、少年の響きを残すその声は、舞の浮かべた人物とは似てもつかないが、その口調はどうしても“その人”を舞の脳裏にちらつかす。
「…ご…ゅじ…さまぁっ」
“あの人”はこんな風に自分と繋がったりはしない。
ただ、人形遊びでもするように、悶える舞を玩具で苦しめるだけだ。
でも、今は…。