SLOW START ]〜海原悠樹〜-6
彼女の瞳を見た瞬間フッと抱きしめてしまった。
気持ちが抑えきれず口からこぼれ出た。
俺は人生で初めての告白をした。
膝が震えた。
全身の血が一気に下がる。
なぜか今までの恋愛を思い出しながら、歩いて家に着くと膝から力が抜けて座り込んだ。
もっと気の効いたこと言えばよかった…
もっと俺のこと知ってもらってから言えばよかった…
最低な男だったのに今更、本気の恋愛なんて出来るのか…
本当の俺は汚い…
彼女を幻滅させてしまうんじゃないか…
頭の中は後悔と不安の繰り返し。
…この歳になって告白ぐらいで…中学生かよ…
笑いがこみ上げてきた。
思いっ切り笑い終わると不思議と落ち着いた。
携帯を取り出しメールを打つ。
【今うち着いたよ。今日は本当に楽しかった。
いきなり告白なんかしてビックリしたよな…
これからゆっくりお互いを知っていければいんだ。
…それで、出来れば俺の隣で笑ってて欲しいです。 海原悠樹 】
つづく