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ウソ
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ウソ×C-6

「嘘じゃねぇよ」
「え、やっ」
言うが早いか、次の瞬間羽織っていたカーディガンははぎ取られ、あっという間に上半身はキャミソール姿になる。
あたしの馬鹿!
何で今日に限ってこんな脱がしやすいモノ着てんだ!
「やだ!やだ、やめろバカッ」
口でしか抵抗できない。
全然力じゃ勝てない。
慣れた手付きで右手がGパンのボタンを外してファスナーを下げた。
「やだってば!小松!!」
何とか逃げようと腰を浮かすと、それを待っていたように一気にGパンを脱がして器用に足で取り払ってしまった。
首筋に小松の顔が沈む。
違う、こんなんじゃない。
あたしは小松を好きだけど、だからって体が欲しいんじゃなくて…、あたしを求めてくれるのが嬉しかったけど、それはこんな形じゃなくて―…
涙が目尻を伝ってどんどん零れていく。
もしかしたらあたしが好きになった小松は偽者で、こっちが本物の小松なのかもしれない。
そう思うと今目の前にいるこの男が全然知らない人間に見えて、怖くて思いっきり目を瞑った。
すると急にフッと体が軽くなって、
「ひゃ!?」
小松の代わりに真新しい掛け布団があたしに被さった。
……………え?
それを隠れ蓑にしてそっと起き上がると、小松はさっきと同じ場所に腰を下ろして話し始めた。
「思い出したか」
「…」
小さく首を横に振る。
「そーゆう事だよ」
そーゆう事?
どーゆう事?
鼻をズズッとすすった。
「…以下略って事?」
「何もしてねぇって事!」
あ、そーゆう事。
何もしてない…
「何もしてない!?」
「そう、俺らはセックスどころかキスすらしてない、清らか〜な関係なの」
「…………」
聞きたい事がすぐに言葉にまとめられない。
あたし達は、ヤっちゃったわけじゃないの?
じゃあ何で、小松は裸で、あたしは制服を脱いで…
「あの日酔い潰れたお前をここまで連れて来て、そのまま制服だけ脱がした」
制服だけ…?
つまり、今のこの格好という事になる。
「本当はそれ以上脱がして浮気相手になろうとしたんだけど、なれなかったんだよな」
「…」
「だから松田に俺達がヤっちゃったと思い込んで貰おうと考えて、その格好で寝るって聞いてたから俺は素っ裸になって横に転がってた。それだけ」
「…ほんとに?」
聞くと、小松は頷いて
「主任にはしたって言っといたけどな」
いたずらっぽく笑った。
「嘘じゃなくて?」
「ほんとだって」
…なんだ。
どうりで何にも覚えてないわけだ。ヤってないなら、良かったじゃん、あたし。
ガッカリしてどうすんの?
「根性なし」
あえて憎まれ口を叩いた。
「うるせぇ」
「ヤっちゃった事にして、ずっと黙ってるつもりだったの?」
「まぁね」
「最低」
「知ってるって」
…もうこんな会話どうだっていい。
あたし達は、本当にただの同僚だった。特別な関係でもなんでもない。
それがショックだった。
大きな溜め息と共に掛け布団に顔を埋めた。


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