夏の終わりに@-6
「…ハアッ…ハアッ…」
私は美術室の前に立った。したたる汗を手で拭い、入口のドアーを開く。
「失礼します」
絵の具の匂いの染み付いた部屋。数々のリトグラフや彫刻像が並ぶ中に彼女は待っていた。
「待ってたわ。さあ、こっちよ」
私は彼女に手を取られ、となりにある準備室へと連れられた。
たくさんの作品や画材が大半を占める狭い部屋。おまけに窓は遮光カーテンが引かれて薄暗くなっている。
彼女の手が私を掴み、身体を壁際に押しつけた。
「な、何をするんですか!」
「黙りなさい」
篠原は私の目を見据えた。
「ここをこんなにしておいて…」
彼女の身体が私に密着し、手が服越しに股間に触れた。
私にはそれだけでゾクゾクとした感触だった。
「や、止めて下さい…」
「止めてですって?こんなに硬くしておいて」
そう言ってクスクスと笑った。
「もっと良くしてあげるわ」
彼女の手がズボンのファスナーに掛った。
「や、止めて!」
抵抗すると、篠原は私の両手を上げた状態で壁に押しつけた。
「…本当に止めても良いの?」
彼女の息が掛かる。見つめられた私は、自分の本心を見透かされたようで、何も言えなくなった。
強張らせていた身体から力を抜いた。
「…続けて良いのね?」
「………」
「どうするの?黙ってちゃ分からないわ。意思表示しなきゃ」
「………」
「続けるの?」
私は俯いたまま頷いた。
狭い準備室にファスナーが降りる音だけが響く。私はその音を聴いただけで、身体が熱を帯ていった。
篠原は開いたファスナーに指を潜り込ませ、中をまさぐる。