夏の終わりに@-4
「正吾。だ、大丈夫か?」
「…ちょっと立ちくらみがしたんだ。悪いが先に帰るよ」
私はそう告げると部室を後にした。そんな姿を、チームメイト達は不安な表情で見つめていた。
帰りの道すがら、私は思った。
(もしあの日、居残りさせられたのが自分じゃなかったら…彼らも私と同様に、大人を…そして自分自身を汚らしい存在だと思うのだろうか…)
いつものように帰宅すると、その日は妹の愛理が出迎えた。
「夏休みだってのに大変だね」
小学校6年生の妹は、最近、背も伸びてずいぶん大人びてきた。
「オマエだってバスケットで大変だろう」
「ウチは弱小チームだから大したことないよ。昼過ぎには練習終わるから」
肌の露出の多い服を着た妹は、無邪気に話掛けてくる。
「今日さ、お父さんもお母さんも遅いんだって。だから、夕飯は店屋物をとって食べてって。ショウちゃん何が良い?」
「オマエの好きなモノで良いよ。量だけ多めにしてくれりゃ」
私はそう言ってバスルームに向かった。
「分かった。いつものカツ重大盛りと小うどんで良いよね?」
「ああ…」
脱衣所で服を脱ぎ、ユニフォームと一緒に洗濯機に放り込む。
「また、こんなに…」
私は頭からシャワーを浴びた。昨日同様、ペ〇スは熱く硬くなっていた。
(…変態だ。これじゃあ…)
篠原の情事と妹の露出した肌がこうさせた。否定しようとすればするほど、私の欲情は高まるばかりだった。
───
「いってきます!」
翌日、寝坊した私は部活に遅れそうだった。
「まちなさい正吾。これ飲んで行きなさい」
母が慌てて靴を履いている私の後を追って来た。手には牛乳の入ったコップを持って。
私は母からコップを奪い取ると、一気に飲み干した。
「じゃあ、行ってくる」
空のコップを母に渡し、学校へと駆けだした。
学校までは歩いて約30分。私は何とか間に合わせようと、懸命に走っていた。
その時だ。私の目の前に1台のクルマが停まった。
「あなた〇〇中の生徒よね。乗りなさい」
開いた助手席の窓から声が掛った。その声の主を見た私は驚きを隠せなかった。
それは篠原だった。