夏の終わりに@-3
───
跳ねる打球。それに合わせて地面を蹴り、体勢を低くしてグローブをさし出す。
「あっ!」
捕球しようとした時、ボールはグローブに当たって横に転がった。
「砧ぁ、何やってんだ!今のはイージーゴロだろうが」
「すいません!もう1球お願いします」
翌日の午後、私は夏の太陽に照り付けられながらノックを受けていた。
しかし、その日はやる事なす事失敗ばかりで、自分でもひどいと思えるほどだった。
「正吾、今日はどうしたんだ?」
練習が終わり、手洗い場でドロや汗を洗っていると、いつもと違った私にチームメイト達が声を掛けた。
「…別に。暑さでちょっと…」
私は嘘をついた。本当は昨日の事が頭から離れず、集中力を欠いていたのだ。
しかし、チームメイトは、
「この暑さだからなぁ。気をつけろよ」
そう言って笑った。
私達は手洗いを終えて部室へと戻った。いつものように談笑が飛び交う中、ひと際大きな声が奥から発せられていた。
大野と川上だった。
「昨日、親父の部屋に忍び込んだらさ、AVを見つけてよぉ」
「それで、それで?どうだった」
「中身は知らないけど、パソコンでコピーしてオレが持ってる」
「おい!それ見ようぜ」
それを聞いていたチームメイトが、
「オレも入れろよ」
そう言うと、ワラワラと話に群がっていく。
〈ガァンッ!!〉
気が付くと、私は壁に頭をぶつけていた。
周りの視線が私に集中する。