Stealth@-9
「期限はひと月。それでダメならオマエとの関係もこれまでだ」
「しかし、オレも〈表の仕事〉をいくつか抱えてるんだ」
「だったら、キャンセルしろ。そのキャンセル料もオレが払ってやる。とりあえず、必要経費も含めて2本でいいか?」
高鍋は指を2本立てて恭一に見せる。指1本100万円、計200万円という意味だ。
「それから、成功報酬だが10本でどうだ?」
(計1,200万。やはり、ただの機密じゃないな……)
今回、高鍋から出されたオファーは格別だった。
企業の機密はモノにもよるが、これまで、せいぜい500万が上限だったからだ。
恭一は思いを表情には出さずに高鍋に言った。
「分かった。引き受けよう。直ちに前金を振込んでくれ。
確認出来次第、行動に移る」
「ヨシッ!頼むぞ。金はすぐに振込む」
高鍋は頬を紅潮させながら答える。
恭一は野望に満ちた目で高鍋を見つめた。
…『Stealth』@完…