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Stealth
【アクション その他小説】

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Stealth@-3

「ふざけるな!たった2週間で30万だと?」

「そうです。最初の契約で貴方にお話しましたよね?承諾されたから依頼されたんでしょう」

 松嶋はあくまでビジネストークで語り掛ける。しかし、鮎川は開き直ってしまった。

「そんなモノ知らん!契約書も交して無い。口約束なんぞいちいち憶えているか!」

 そう言うと、財布から1万円札を10枚取り出した。

「これを持ってとっとと帰れ!オマエらの仕事なんざ、こんなもんで充分だ!」

 鮎川は松嶋の前に金を叩きつけた。その態度に、松嶋はゆっくりと鮎川を睨みつける。

 探偵業をやっていると、たまに、こういう輩に出くわす。最初は泣きついてくるクセに、調査が済んでいざ支払いになると、料金にいちゃもんをつける。

 中でも鮎川は最悪の部類だ。

(…こりゃ1発咬ませるか…)


〈バァンッ!!〉

 松嶋は、思いっ切りテーブルを平手で叩いた。その音にビクッと身を縮込ませる鮎川。

 周りの目が松嶋に集中する。

「鮎川さんよぉ…」

 松嶋は態度を一変させた。嘲るような目を鮎川に向けた。

「如月証券の次長さんが、たかが30万で人生を棒に振るとはねぇ…」

「なんだと?」

「オレが何の策も立てずに、ここに来たと思っているのか?」

 そう言うと内ポケットから何かを取り出した。シルバーの箱。大きさは100円ライターくらい。

「何だ?これは」

 松嶋はニヤリと笑うと鮎川に言った。

「盗聴マイクさ。アンタの声は、ここから500メートルほど離れた場所でレコーディングされている」

 驚きの顔を見せた鮎川。松嶋は言葉を続ける。

「ついでに言えば、アンタがウチの事務所で契約した様も、ビデオでレコーディングしてたがね」

「…た、たかが女房の浮気調査じゃないか…ちゃんと話せば会社は分かってくれる」

 鮎川は自分に言い聞かせようと必死だ。頃合いと見た松嶋は、さらに鮎川を追い詰める。

「…そうかい。だが、その調査依頼した本人がストーカーまがいな行為をしてると知ったら?どうかな」

 松嶋は数枚の写真をテーブルに置いた。それは、鮎川がストーキング中の写真だった。

 顔色がみるみる蒼白に変わり、写真を握る手が小刻みに震えている。


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