Summer Day-1
「おはよーございまーっす」
朝が弱い俺の耳に響く、ドデカい声。
うっせーな。
しかも、どっかで聞いたことのある声だし。
布団から這い出て玄関に向かい、戸を開けると、そこにいたのは生意気なガキだった───。
Summr Day
「…何でお前がここにいんだよ。つか、何で住所知ってんだよ」
「勉強教えて貰おうと思って。住所はずっと前にサチ先輩が教えてくれました!」
眩しいくらいの笑顔で答える総太を止める力すら、今の俺にはなくって。
「…分かったよ。入れ」
長い1日が、始まる。
「──先生、次はコレもやって下さいよ」
渡されたのは化学の問題集。
「ふざけんな。俺の担当じゃねぇよ」
「いいじゃないですか、学生時代にやったんだし。それとも、年のせいで忘れちゃってますか?」
黒い笑みを浮かべている総太にムカついて、問題集を奪い取る。
なんか踊らされている気もするが、売られた喧嘩は買う主義だ。
『勉強教えて貰いに』と言ったくせに、総太は俺に自分の課題を渡してきた。それも俺が作った。
自分で作ったんだから出来て当然ですよね、なんて言うもんだから、ついやってしまったらこのザマだ。
全く、甘やかすとロクなことにならない。
カリカリ、カリカリ
静かな家に、ペンを走らせる音だけが響く。