Summer Day-6
「…何」
「いや、もう夕方だから」
「ふーん」
そう言ってサチは横になった。
「おい、時間だって」
「分かってるけど」
帰る気がないのか、サチは動かない。
思わず俺は総太を見た。総太も困った表情をしていたが、急に何を思いたったのか、ニヤリと笑った。
「せーんぱい、俺が家まで送りましょうか?」
あっ、ちくしょ、やりやがったなこいつ。
「いーよ、総太、方向正反対じゃん」
「いや、変質者でも出たら危ないじゃないですか」
「いや、ホントにいいよ」
まだ眠いのか、サチはむすっとした顔で答える。そのためか、遠慮しているセリフが怒っているようにも聞こえる。
けれど、サチの態度にたじろいでる総太を見ているのは気分が良かった。
今度は俺が困惑する立場になるだなんて、思いもしなかったから。
「ナオ」
サチは急に視線を奴から俺に移した。無意識に体がこわばる。
「…送ってって」
「はぁ?」
何を言い出すのかと思えば。
総太の視線が痛い。
「いいじゃん、こいつに送ってもらえば」
「だってナオなら近所だし、どうせ夕飯うちで食べるでしょ?」
「まぁ、な…」
「チャリは明日とりに行くから」
俺は総太をちらりと見る。
下を向いていたため表情までは読み取れないが、さっきまで生意気なガキが今は哀れに見えた。
俺はため息をついた。