Summer Day-5
「…行く」
…クソッ。
心の中で小さく舌打ちした。
2人でコンビニを出て俺の家に向かった。
自転車のカゴには3つの蕎麦と3つのアイス。
空、綺麗だねってサチが言ったから、そうだな、と言っといた。
相変わらず空は蒼いままだった。
家に着いて総太を呼ぶと、奴は途端に『後輩』の顔でサチと話していた。ここまで切り替えが早いと呆れて何も言えない。
「まぁまぁ先輩、あがってくださいよ」
「お前が言うか」
「先生はアイス、冷凍庫に入れといてください」
こいつ、絶対俺のこと先生って思ってないな。
サチと俺に対する温度差を気にしつつ、俺は素直に従って台所に向かった。
───日は落ちて、あんなに蒼かった空も赤みがかかってきた。
学生2人はペンを握ったままぐっすりと寝ている。
最初に総太が寝てしまったのでサチと笑っていたが、彼女もつい先程眠りについてしまった。
遠くからヒグラシの鳴き声が聞こえる。
俺は2人に視線を移す。
こうしていれば、かわいいんだがな。
「おい、起きろ」
声をかけると、目をこすりながら総太が起き上がった。
「もう…、そんな時間ですか?」
「もうすぐ6時になるぞ」
「はぁ」
気だるそうな返事をして身支度をし始める。
続いてサチの頭をはたけば、不機嫌な顔をして起き上がった。