Summer Day-3
コンビニに着いて中に入ると、異様な光景を目にした。
頭をアイスの冷凍庫に突っ込んでいる人物。
驚いたことに、そいつは俺がよく知る人物だった。
ベシッ
背中を叩き、声をかけるが返事はない。返事をするとは初めから思っていなかったので、仕方なく白く華奢な首を掴んで引き上げると、彼女は訝しげな顔でこちらを見た。
「ナオ、何でここにいるのさ」
そりゃこっちのセリフだっつーの。
アイスが食べたいのか涼んでいただけかは分からないが、サチを軽く叱ってアイスを奢ってやることにした。だが、アイスはいらないと言う。
せっかく会えたのに不機嫌な様子だから、何だかこっちも不機嫌になってきた。
しかし、弁当売り場で肝心の蕎麦を買いに向かうと、何故か彼女もついてくる。
大股でずかずかと向かう俺の後ろで、ちまちまと小走りでついてくる様子が可愛らしい。
「お前も食う?」
そう尋ねると、小さく頷いた。
何だか小さな子供みたいで、思わず笑った。
蕎麦を3つカゴに入れると彼女は不思議そうにこちらを見てきた。
「ねぇ、誰かいるの?蕎麦3つあるけど」
まさか総太がいるなんて言えやしない。適当にごまかそうとするが、サチはそれを許してくれなかった。
「もしや彼女?」
「アホか」
そんなん、いるわけねーだろ。
愛しい彼女にそんなセリフを言われ、少し傷ついた。
恋愛対象としてなんて、全く見られてないからこそ言われるのだから。
頑張ってごまかしていると、ポケットの中で携帯が震える。
総太だ。
表示を見なくても、そう悟った。