カオル@-5
明日は休暇をとっていたので、考えるには今夜しかなかった。晋吾は真由美を寝かしつけると、その横で辞典を開いて調べ始めた。
この1週間、頭の中に浮かべていた名前を、人名辞典で字画が良いかを調べていく。
もともと学生の頃から、テストは一夜漬けを得意にしていた晋也は、順調に調べあげていく。が、なかなか決定には到らない。
(…ヨシッ、これにしよう…)
ようやく決まった頃には、外が白み始めていた。
晋吾は〈やれやれ〉といった面持ちで、真由美のとなりで眠りについた。その表情には、ある種の達成感が満ち溢れていた。
枕元には、一枚の紙切れが置かれていた。そこには、大きな字で新しい家族の名前が書かれていた。
〈命名 藤木 薫〉と……
…「カオル」@完…