ヒキサカレシモノ-1
「あの箱だけは見つかってはいけない...」
「今日、お前はご飯ヌキだ」と言われ、空腹で眠れずにいた僕の耳に
そう言う父の声が聞こえた。
「僕は父さんたちと違って、動きも鈍いし、力もないし...
たまにはご飯抜きがあってもしょうがないんだ。」
そう自分に言い聞かせていた。しかし、あまりの空腹に耐え切れず
僕は何か食べるものを求めて、こっそりと見つからないように起き出していった。
「あのハコってなんだろう?」
そう考えながら歩いていると、美味しそうな匂いが僕の鼻をくすぐった。
「なんだ!!ちゃんと僕の分のご飯も用意してくれてるじゃないか!!」
僕は急いでその匂いの元へ走った。
「ご飯だ!!」
空腹が限界に達していた僕は、夢中でご飯にむさぼりついた。
そして空腹が満たされ、一息ついたところで、そばにある見慣れないものに気がついた。
「??なんだろう? これがお父さんの言ってたハコ??」
僕はそのハコをいろんな方向からつついたり、叩いたりしてみた。
すると...
「ザッ!!...電話が繋がったようです!!猫科の獣の群れの中に人間の少年らしき
姿が見えると言う報道をしてから1ヶ月!!...」
ハコが突然、大きな音を出した!!
「うわわわっ!!」
びっくりして、僕はそこから慌てて逃げた。
「どうしよう...僕が勝手な事をしたからハコが怒ったんだ。
バレたら父さんにも怒られる。どうしよう...」
僕は黙って、ご飯抜きの空腹を我慢して、ずっと寝ていたフリをすることに決めた。
どうせ匂いでばれるだろうけど...
だが僕は怒られなかった。
次の日、こっそりハコを見に行ったら沈黙していたからかも知れない。
僕には既にそのハコが意味するものを理解する人間性は残されていなかった。
僕の本当の両親が、ニュース番組の録画ビデオの情報を頼りにここまでたどり着いたのに
END