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アン・ロジック
【ミステリー その他小説】

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アン・ロジック-3

少女の目は今までで一番暗く濁っていたのに、口元が楽しそうに歪んでいたのだ。
先生は肩を震わせ、上がらない腰を引いて後ろへ下がった。
「あら先生。何を怖がっているのかしら?」
父親が落ちた地点。そこには『父親が持っていたはずの包丁』が見当たらない。
「先生には感謝しないといけないわ。私、施設にあずけられるのはすっごく嫌だったけど、こうしてお母さんとお父さんが眠ってくれたから、私は自由になれた。先生がそのキッカケを作ってくれたようなものね」
「子供は、一人じゃ、生きられない、生きられないんだよ」
か細い声が、どこからか漏れている。大人と子供が逆転した異空間の中から、今にも泣き出しそうな大人な子供。
額に丸く脂汗を浮かべ、玄関の戸が完全に閉まっているのに、抜けた腰を後ろへ後ろへ動かそうとする。
もう、これ以上後ろへ下がれない。脚が地面を捕らえ、汚物を蹴り空回る。
「だからね、センセイ」
その時、父親が持っていた包丁がどこへ行ったのか? その答えが出た。


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