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夏、そして夏。
【初恋 恋愛小説】

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夏、そして夏。side D-1

ついに始まったインターハイ――。
高校最後の夏。


牧 大斗‐まきだいと‐水泳部所属。種目、自由形。

3日前、風太を尋ねてある男がウチの学校のプールにやってきた。

風太は高校に入って知り合ったオレの同級生。まぁ昔から名前だけは知っていた。小、中と全国大会で名前が上がっていたからな。
水泳の強豪チームのある高校に進み、そこで風太と出会った。

風太は尋ねて来た男は昔のコーチだと言った。でもあの男が来てから妙にテンションが高い。まぁ、昔から夏はテンションは高いが。特に大会前は…。
だから前からなんとなく気付いてはいたんだが…。



自由形の予選は大会の一種目だ。オレは準備をし召集所へ向かおうとしていたが、風太がどこかへ行こうとしているのに気が付いた。

「おい風太、お前どこ行くんだよ!」

「えっ、あそこ。」

やっぱり。
風太は屋内プールを指差していた。
屋内プールでは女子の予選が行われる。毎年風太はまずあそこに行く。

「お前、余裕だな〜」

「だってオレの出番は明日だもん。」

「だったらオレの応援しろよ!」

「大斗なら大丈夫だよ!」

風太はウインクをし、軽快なステップで行ってしまった。

やはりアイツは…。


風太は大会会場に来たら、まずプログラムに目を通す、そして屋内プールへ。
これは毎年恒例。
ケガをして出場できなかった去年もそうだった。確か去年はニヤニヤしながら戻ってきたよな。
そして今年はさらに嬉しそうだ。

オレは思っていた。
毎年、自分のチームをそっちのけで女子のレースを見に行く。




アイツは、風太は、

変態に違いない――。




さて、集中集中。
高校最後の夏が始まる。


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