アイスクリームと蕎麦-4
「ナオは車?」
「いや、チャリ」
「じゃあちょうどいいね。あたしもチャリだからさ」
ナオの後ろについて自転車のペダルを漕ぐ。
外はやっぱり暑いけど、ここが私の世界なんだから仕方ない。
「ナオー」
「ん?」
「アイス、溶けちゃわないかなー?」
「そんときはそんときだ」
ジュースみたいでいいじゃねぇか、とナオが言うから、つい笑ってしまった。
私はアイスクリームの世界に拒絶され、アイスクリームは私の世界では生きていけない。
これで1勝2敗だね。
そう考えると、この暑ささえも愛おしく感じた。
ナオの家に着いて、自転車を車庫に止める。
家は網戸になっていて涼しげだった。
「おーい、買ってきたぞー」
中に入ってナオがそう叫ぶと、奥の部屋から足音が聞こえた。
「先生、幸先輩連れてきましたー?」
この声は。
「総太?」
「おっ、先輩!こんにちわ!!」
私は彼とナオを見る。
ナオは隣で額を押さえ、総太は満面の笑みを浮かべる。
?
「まぁまぁ先輩、あがってくださいよ」
「お前が言うか」
「先生はアイス、冷凍庫に入れといてください」
2人のやりとりが面白くて、思わず笑う。
総太いわく『勉強会』は一時中断にして、3人で蕎麦を食べた。