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友達の結婚によせて
【失恋 恋愛小説】

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友達の結婚によせて-1

来月、結婚式が一つある。
大学時代のサークル仲間の。
そして私はスピーチをしなくてはならない。

「湊くん、恵里、結婚おめでとう」

そう言うための。

そして

『湊のことは今も好きなのに』

と思いながらの。

湊の第一印象はカッコイイけど恐かった。そして「群れる」ことを必要以上にはしなかったように見える。
だから勝手に「湊は孤高」なんだと思っていた。

いつかの春、私は湊と二人で少し遠くまでドライブに行った。
話しづらいと思っていた湊といっぱい話をして、一気に好きになった。
今までにも一目惚れしたことはあったけどこんなに早く恋に落ちる感覚は味わったことがなかった。でも、この湊ならそんな恋もありかなと自分から抱き着いた。

「俺の過去知ったらひくから好きにならないほうがいい」

湊とキスをしたときの言葉。
そして何度か唇を重ねたあと語られた過去…
実姉との確執、心臓に抱えた病気、大学留年、中学生のとき不良だったこと…

どうでもいいような、受け止められないような過去だった。だけど、今の湊と唇を重ねられる関係なら構わないと思ったからそのままにしておいた。そして好きも何も言わない片想いか両思いにわからない関係の二人になった。合意も何もないけど二人は付き合っていますなんて言えない、言ってはいけないと思っていたし、誰にも言わなかった。


でも私は静かに湊を大好きになって手放したくないと思った。


首筋にコイン位のキスマークつけられたこともあった。

私は湊のものになれたのか
湊は私のものになったのか

よくわからなかったけど


キスマークの10日後、湊と私はいきなり疎遠になった。湊は私にいきなり高い壁を作った。湊にメールが届かなくなった。サークルで会ってもほとんど話さなくなった。避けられてるのか、そうだとしても理由がわからないまま月日が流れた。


あの春から2回目の冬。
湊がホストのバイト代で買った車で私のバイト先に来た。何しに来たかと思えば助手席から恵里が下りてきた。湊は少し気まずそうに私に何も言わず走り出した。
恵里に聞くと最近付き合いだしたという。
恵里とは学部もバイトもサークルも同じでサークル内の元カレもみんな知っていたけど、湊と付き合うとは思えなかった。
でも付き合い始めて、バイトが終わったあと私の目の前で恵里に「おかえり」と言って車に迎え入れる湊を見る。

恵里には湊とのことを言ったかは覚えてないが、もし恵里が知っていたらひどく酷なことをする女だと思う。

そして湊にも。
なぜ私たちは疎遠になったの?
私の思いは?
なぜ恵里なの?

誰にもそのことは言えない。
友達は湊や恵里、もしくは二人を知る人だから言えるわけもない。
ずっと付き合っていく仲間だから、時が解決してくれるとも思えなかった。

私は湊と恵里の近くでほとんど彼らについて知っている友人になった。
湊と恵里のことならたいがいは答えられるようになっていた。


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