jam! 第7話 『蒐蓮寺の怪夜 前編』-4
「『絶火』ッ!!」
――キュドッ!!
「っ!?ぬ、ぅッ」
男は急停止、後ろに跳ぶ。
直後に高速で飛来した火球が、先程まで男がいた場所に着弾し爆炎を散らした。
「秋次さん!大丈夫ですか!?」
「おぅ!サンキュー悠梨!」
体勢を立て直した二階堂さんが駆け寄って来た。
「ハッ、今のは不意を付かれちまったが……接近戦なら受けて立つぞコラ!」
言って刀を抜いて、
「――どらぁッ!!」
もう既に斬りかかっていた。
……こちらも無駄に速い。
「さすがに真剣を相手に素手では分が悪い、な」
男が両手に鉄甲を嵌める。
「せぁっ!」
ギィンッ!!
二階堂さんの斜め下からの一閃を鉄甲が受ける。
「まだまだぁッ!」
怒涛の連撃。
だが立て続けに繰り出される斬撃の、男はその全てを鉄甲で叩き落としている。
……その硬直状態と言うにはあまりにも激しい一瞬の攻防の中。
「『飛焔(ひえん)』ッ!!」
「っ!!」
その声に気付いた二階堂さんが瞬時に後方へ飛びのく。
ほぼ同時に、男の目の前……今まさに二階堂さんがいた場所の地面が赤く光り、男へと火柱が立ち昇る!
「ぬ、ぉっ!?」
咄嗟に男も横へと飛びのく。
………が、
「――せぁッ!!」
「!!」
男に生まれたその一瞬の隙を狙い、二階堂さんが一気に間合いを詰め、斬り上げる!
――ガシュッ!
「……今のは、危なかった、な」
「チッ、笠にかすっただけかよ……ん?……なッ!?」
二階堂さんの放った一撃は、男の被っていた編み笠を吹き飛ばしただけだった。
しかし、その笠の下。
月明かりに照らされたその頭は見事なスキンヘッドで、
…角が、生えていた。
……はい!?
「お前…!!鬼………か!?」
「いかにも。貴様らの言ういわゆる鬼という存在、だ」
鬼。鬼。
二階堂さんは鬼と言ったが、鬼って……あの、鬼?
僕達はあまりの出来事に呆然としていて、
……その、呆然としていたのがマズかった。