はじまり-1
はじまり
そのサイトに踏み込んでしまったのは単なる好奇心からだった。
きっかけはおとうさんとのメール。
「今検査が終わってベッドで寝てるよ
今日来るときにタバコを持ってきて」
ーったく…病院で携帯いじくってんじゃないよ
病人は静かにねてろっつの
「はいはいタバコね
2時30分には母さんとお見舞いいくから待っててね」
ヘルニアで入院していたお父さんへしぶしぶ返信をした…つもりだった
すぐに返事が帰ってきたのだ。
おかしいなと思ってメールを開いたら
出会い系サイトからだった。
…なんでそうなるの?
あたしは確かお父さんにメールしたはずなのに
もしかしてあの馬鹿親父はこのサイトに入ってるんじゃなかろうか?
いやいやそんなバカな、いい年こいて。
…でも、まてよ
最近お父さんの携帯はメールが頻繁に届いていた。
にも関わらず「ほっとけ」とあたしやお母さんのいる前では携帯をみようとしなかったんだ。
明らかにおかしい!と確信したあたしはお父さんを見つけ出してとっちめようと思ったんだ。
本人に面向かって問いただせば直ぐ答えは帰ってきたんだろうけど
出会い系サイトってどんなもんなんだろう?という気持ちがあった。
おとうさんいなかったら直ぐやめればいいし
まぁ取りあえずはいってみるか―
そしてあたしは足を踏み入れた。
この決断が後であたしを苦しめることになるなんて考えてなかったの。