夏の始まり、夏の終わり(前編)-2
私は何を考え、何を学び…
未来へ羽ばたきたかったのか…
私には、そういう崇高なものを…口に出来ないくらい汚れていた。
若い男は、人妻だった私を本当に愛してくれた。
それは離婚してからも変わらず、ただ真っ直ぐに…。
私はずるかった。
その真っ直ぐさが怖いくせに、愛されているという自負が満たされていた。
若い男は潔癖な程に私を愛し、その潔癖に私は嘘の顔で答えていた。
それでも…
嘘の顔だったとしても、私なりに愛していた。
若く真っ直ぐな彼を守るには、私は汚れ過ぎていたのかもしれない。
しかしこの子に、本当の顔を見せていれば…
彼は途端に、気が狂ってしまっていただろう。
私はそれでも、堕落した自分を救えなかったし改心できなかった。
彼は、交通事故で亡くなった。
私が直接の原因ではない。
しかし、私の浮気が原因で取り乱したまま、車で帰路についた際の出来事だった。
だから…私が殺したようなものだ。
数少ない旧友は、あんたのせいじゃないよ…
彼が弱かったんだよ…
そう言ってくれたが、それは私の心には届かなかった。