投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

夏の始まり、夏の終わり
【大人 恋愛小説】

夏の始まり、夏の終わりの最初へ 夏の始まり、夏の終わり 9 夏の始まり、夏の終わり 11 夏の始まり、夏の終わりの最後へ

夏の始まり、夏の終わり(前編)-10

店先のシャッターを下ろし、奥の部屋で簡単な料理を作り出した時だった。

シャッターを強く叩く音がした。





誰だろう…

私は、少し心配になりながらガラス戸を開け、シャッターを上げた。



そこには…



数時間前、この店に寄った…男の姿があった。

傘はあるが、肩も足も…全身に雪がかかり、見るからに冷えているのが分かる。




「どうしたんですか!?」


私は驚き、すぐに店内に招き入れストーブの前の椅子に座らせた。



「すみません…、タクシーが全くつかまらなくて」


ただでさえ地方の小さな市の病院だ。

患者がタクシーを使えば、とたんに待ちぼうけしてしまう。


ましてや彼は仕事で来ている。

病院の待合室で夜まで過ごすわけにもいかず、結局歩いてここまで来たのだという。




男がストーブで暖をとる間にも、雪は容赦なく積もっていく。

とてもではないが、駅まで歩くなど出来はしない。




「困ったな…」


「明日も、仕事なんですか?」


「ええ、でも…この雪で足止めを食らったと言えば大丈夫です」


「ならよかった…」


「いや…でも、泊まるところがない…か」




このあたりには、ビジネスホテルどころか民宿すらない。

一般の民家に泊まらせてもらうわけにもいかないだろう。



男は本当に困ったといった様子で、携帯電話で必死に何かを検索していた。


夏の始まり、夏の終わりの最初へ 夏の始まり、夏の終わり 9 夏の始まり、夏の終わり 11 夏の始まり、夏の終わりの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前