FULL MOON act4-6
「そ、それに。」
近くのベンチに座り、ポロポロと涙をながす彼女をなだめる。
「それに?」
「友達が、デート中手をつないで歩かない男は本気で彼女を愛してないって…」
確かに、今日手は繋がなかったけれど、それは暗い彼女に言いにくかっただけで…。
…全くこの安西めぐみという女は…。
半泣きの彼女をなだめながら、愛されてる実感を得、人知れず嬉しく思っていると彼女は一言爆弾を投下した。
「元カレとは手を繋いだのに…」
たぶん、それを皮肉などのつもりで言ったのではないと思う。彼女は今きっと混乱しているのだ。
…だけど、それはスイッチをいれるのには充分だった。
「…帰ろうか。」
「え、あ、はい…。」
今日は一人暮らしをしている俺の家へ初めて彼女を連れてくる日でもあった。
いつも彼女の家へ行くのは仕事場が近く、そのまま出勤しやすいのと、俺の家が遠いからだった。
強引に手を取って歩き出す。
その雑貨屋から10分もかからない。
「あ、あのなんか夜ご飯買わないと…。」
「そんなの後でいいよ。」
「え…後で?」
混乱から困惑に変わった彼女を連れて早足で歩くと、道路の向こうにマンションがみえてくる。
「あれ、うちだよ。」
「え!?…おっきい…。」
オートロックを外し、エレベーターに乗る。
キョロキョロ周りを見渡す彼女を壁におしつけ、キスをする。
「高坂さん…!?」
「元カレと手繋いでデートして楽しかった?」
「…あ……」
服の上から胸を触り、存在を主張してきた乳首をつまむ。
「…ぁ…。」
わずかだけれど、彼女は興奮の声をあげる。
唇から耳へ吐息をかける。彼女の弱点は、もう知ってる。